魚べいの経営戦略に必要なこと

日本では昔から寿司の人気が高く、冠婚葬祭や誕生日会などの大小のイベントのときによく食事として提供されてきました。海に近い地域では普段から新鮮な寿司を食べる習慣がある地域もありますが、内陸部になると高級な食事という印象が強いのが特徴でした。しかし、大衆化が急速に進められるようになり、比較的安価に食べられる回転寿司屋が広まりました。そして、その競争が激化した結果として100円で提供する回転寿司屋が登場し、同じ価格ラインで競争するチェーン店が増えてきています。その中で近年になって急激に成長を遂げてきているのが魚べいです。100円で80種類以上もの寿司を提供するという多様なメニューを持っているのが魅力であり、食べられる寿司の種類では他の回転寿司屋を凌駕する勢いがあります。また、サービス内容にもこだわりを持ち、おいしさ、楽しさ、スピードを追求しているのが特徴です。

回転寿司を食べに来るお客は結局はレーンを回っている寿司を食べるのではなく、オーダーして好きなものを握ってもらいに来るということを前提にして効率化を行い、他の店にはないようなスピードを生み出しているのが魚べいのシステムです。店内にオーダーシステムを組み込んで一元管理を行うようにしてあるのが特徴であり、客席からのオーダーについてはタッチパネルを採用しています。タッチパネルから食べたいものを選んでオーダーすると厨房に順々にオーダー内容がリストアップされていき、それを握ったらレーンに載せて提供するという形になっているのです。これに加えてレーンを三段準備してあるのが魚べいの工夫であり、そのうち二段が高速レーンになっていてオーダーされた寿司を届けるためだけに使用するものになっています。これによって握りたてをお客の手元に速やかに届け、おいしいうちに食べてもらえるようにするというシステムを作り上げているのです。テーブル席を基本とすることによって家族で楽しみながら食べられるようにしているのも工夫であり、おいしさ、楽しさ、スピードのコンセプトを反映したものになっています。

一方、いかにして安く多くのメニューを提供するかは大きな問題です。これに関して魚べいが工夫をしているのがメニューの内容であり、食材が無駄にならないようにメニュー設計を行っています。同じ食材を使って複数の寿司を提供できるように工夫してあるのが魚べいのメニューです。サーモンを一つとっても、そのままの握りに加えて、サーモンペッパー炙り、サーモンネギラー油、オニオンサーモン、焼サーモンといった形で複数のものがあります。まぐろたたきに至っては握り、ネギラー油の握り、ねぎ塩だれの握りに加え、軍艦でもまぐろたたき、まぐろたたき納豆、まぐろとろろといった形で有効利用し、さらに巻物でも提供しているのです。いわしのように他にはあまり利用していないものもありますが、鮮度が落ちる前に酢で処理することによって酢〆いわしとして提供するという工夫も行っています。このような工夫をすることで食材の無駄をなくし、鮮度の高い魚を常に提供できるようにするのはおいしくすることにもつながっています。廃棄コストを削減しつつ、仕入れも単純化することができるのでコストパフォーマンスの高い方法です。

食材の仕入れの方法にも配慮し、ブランドとして寿司を広く扱っていることを利用した大量入荷を行っています。また、安定供給を行えるようにするために仕入れ先についても幅広く確保するようにしているのが魚べいの戦略の一つです。全国各地の港や市場での価格を比較して安く仕入れられる経路から調達を行っているのは大量に食材を扱うからこそ大きなコストダウンになります。調達コストを最小限に抑え、同じ食材を広く使えるようにしてより大量に購入できるようにすることが単価を下げることにつながり、破格での寿司の提供を可能にしているのです。

大手だからこそできるこのような仕入れの方法ですが、たとえ個人経営の店であってもこの戦略を参考にして調達コストを下げることができます。業務用の魚を仕入れるのに決まった卸業者を決めてしまうのではなく、多くの卸業者が集うインターネットサイトを利用して調達を行うことが可能です。これによって価格競争も行われるため安く食材が手に入りやすく、全国各地からの確保もできるようになります。それに加えて運送を卸業者側に任せることができるため、運送体制の確立や運送コストの削減について考える必要がなくなるのも魅力です。魚べいの経営戦略を参考にして徹底したコストカットを行っていくことはどの飲食店であっても不可能ではありません。メニューと仕入れの工夫によって成功している魚べいを参考にしてみると飲食店は経営成績が向上する可能性があるのです。